子どもが複数いる場合、家業を継いでいる者も、親と同居している者も、県外に嫁いでいる子どもも相続分は平等です。
家業を継いでいる子どもが、事業財産を相続することは当然であるから、他の子どもたちも納得するだろうと考えて、遺言を作成していなかった場合、他の子どもから相続分の代償金を請求されて、事業が立ちゆかなくなるおそれがあります。子どもには遺留分があるため、長男以外の子どもの相続分をゼロにすることはできません。しかし、遺留分は法定相続分の半分なので、遺言を書いておくことによって、長男が他の子どもに支払う代償金の額を半分まで減らすことができます。また、長男の妻と養子縁組をしておけば、他の子どもの相続分を減らすこともできます。場合によっては、被相続人の生前に、他の相続人に遺留分を放棄してもらうことができないか検討することも必要です。
このように、特定の相続人に事業を承継させたい場合、相続が発生したときに起こりうる事態を想定し、遺言を作成するなどして適切な対策を講じておくことが必要です。