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婚活サイトと婚約不履行について

この数日でめっきり冬の寒さになりました。

今日は最近,相談の多くなっている婚活サイトで出会って婚約したけど,婚約破棄されたという婚約不履行についてお話します。

婚活サイトで知り合う場合,お互い結婚したいというのが前提にあるので,かなりのスピードで結婚の話がまとまるようなことがあります。

しかし,付き合いの期間があまりに短すぎて,実際に家を探すとか親に紹介するとか同居するなどの結婚に向けた具体的な動きが煮詰まってくる段階で,「ちょっとこの人とはうまくやっていけなさそうだ」と感じるようになることがあります。

そして,やっぱり結婚はやめたいと言ったときに,相手が納得してくれなかったり,今までかかったお金を何百万と返せと言ってきたりして困って相談に来られる方がいます。

インターネットサイトを通じて知り合ったとしても,その後実際に直接会って付き合いを深め,結婚しているカップルは私の周りにもいますので,知り合うきっかけがインターネットであることがいけないとは全く思いません。しかし,あまりに短い期間で結婚となると,やはり相手のことを十分に知ることができないまま,後になって,こんなはずじゃなかったとなる危険は高まります。

 

では,どういう場合に,婚約不履行の慰謝料が認められるかというと,「結婚しよう」「うん,そうしよう」と約束しただけで婚約の成立が認定されるわけではありません。裁判になった場合に婚約が認定されるかどうかは,不当破棄からの法的な保護を与えるのが相当と言える関係があったかどうかで判断されます。また,婚約が認定されたとしても,不当破棄に当たらなければ,慰謝料を支払う義務はありません。「婚約の成立」が認められ,「不当破棄」と認定されて初めて慰謝料支払い義務が発生することになりますが,これはある程度ハードルが高いと思います。交際期間や結婚に向けてどの程度具体的な準備が進んでいたかとか,どれくらい真摯に結婚の実現に向けた意思があったかなどを総合考慮して判断されます。

 

付き合っているカップルであれば,「結婚できたらいいね」「そうだね」という会話が一度や二度出ても普通ですし,「この人と結婚しようと思っている」と家族や友人に話すこともあると思います。しかし,それだけで,単純に婚約成立が認められるわけではありません。

また,結婚しようと思っていたから相手に物を買ってあげたり,生活費を負担してあげたりしたケースで結婚が破談になったとしても,よほどの例外でなければそれまでにあげたお金を返してもらうことはできません。

 

過去に訴訟になった事件では,実家で同居してみてうまくいきそうなら結婚するという前提で両家顔合わせも済ませた上で試験的に同居生活を始めたものの,同居生活中にそれまであきらかになっていなかった相手の性格が分かり,結婚してうまくやっていく自信を失い,結婚する意思がなくなったというケースがありました。このケースでは,結婚に対する一定限度の期待があり,それについては法的保護に値する利益と言えるけれど,結婚に至らなかったのには正当な理由があるため,不当破棄とは言えないとして,慰謝料の請求が棄却されたものがあります。

 

上記事件では,実家での同居生活が試験的に始まっており,婚活サイトで知り合って,2,3か月のうちに「結婚しよう」という合意ができたけど,その後,しばらくして「やっぱり無理だ」となったようなケースでは,結婚に対する期待が法的保護に値するとは言い難いように思います。

 

(写真は,四国まん中千年物語の列車です)